えるぼし取得で、 中小企業の外国人雇用が 円滑に?
「えるぼし認定」は、女性活躍推進のための制度です。 しかし、技術・人文知識・国際業務、いわゆる技人国人材を雇用する中小企業にとっては、単なるイメージアップにとどまらず、外国人材の採用・更新・雇用継続を円滑にする会社側の対策として活用できる可能性があります。
- えるぼしとは、女性活躍推進法に基づき、女性活躍に関する取組状況が優良な企業を認定する制度です。
- えるぼし認定企業は、技人国の入管実務でカテゴリー1該当を見据えられる場合があります。
- 令和8年4月15日以降、カテゴリー3・4企業では、技人国人材について日本語等の言語能力資料が追加で問題になる可能性があります。
- そのため、えるぼし取得は、中小企業が外国人材・技人国人材を円滑に採用・更新・雇用継続するための会社側対策になり得ます。
そもそも、えるぼし認定とは何か
えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取組状況が優良な企業について、厚生労働大臣が認定する制度です。認定を受けることで、企業は「女性活躍を推進している会社」として公的に示しやすくなります。
えるぼし認定で見られる5つの項目
えるぼし認定では、主に次の5つの評価項目が確認されます。
えるぼしには3段階がある
評価項目のうち、基準を満たす項目数に応じて、1段階目・2段階目・3段階目に分かれます。技人国のカテゴリー対策としては、まずはえるぼし1段階目の取得可能性から検討することが現実的です。
技人国人材に対する 日本語要件厳格化の脅威
問題は、令和8年4月15日以降、技人国のカテゴリー3・4企業において、主に言語能力を用いる対人業務等に従事する場合、業務で使用する言語についてCEFR B2相当の能力を証する資料が追加で求められ得る点です。
中小企業にとっての脅威:外国人本人の能力があっても、形式資料で止まる可能性
日本語で業務を行う場合、JLPT N2以上、BJT400点以上、日本の大学卒業などがCEFR B2相当の日本語能力を有するものとして扱われます。逆にいえば、実務能力や人柄、職務適性があっても、形式的な日本語能力資料を出せないことで、採用・更新・配置転換が難しくなる可能性があります。
採用候補者が狭まる
N2等を持たない外国人材について、実務能力があっても採用判断が難しくなる可能性があります。
更新時に止まる
採用時は問題なくても、在留期間更新時に言語能力資料が論点化する可能性があります。
業務変更がしにくくなる
接客、通訳、翻訳、ホテルフロント、マーケティング等への業務変更時に説明負担が増えます。
なぜ、えるぼし取得が 外国人雇用の円滑化につながるのか
えるぼし認定企業は、入管実務上の「一定の条件を満たす企業等」としてカテゴリー1該当を見据えられます。カテゴリー1該当を見据えることで、カテゴリー3・4向けの追加資料負担から外す設計がしやすくなります。
カテゴリー3・4のまま放置する場合と、 えるぼしを取得する場合の違い
中小企業では、源泉徴収税額の要件などからカテゴリー3・4に留まるケースが少なくありません。そのまま放置すると、外国人雇用のたびに追加資料のリスクを抱えることになります。
| 論点 | カテゴリー3・4のまま | えるぼし取得を見据える場合 |
|---|---|---|
| 日本語等の追加資料 | 脅威 対人業務・言語業務で、CEFR B2相当資料が必要になり得ます。 | 対策 カテゴリー1該当を見据え、追加資料負担を回避しやすくします。 |
| N2未取得者の採用 | 採用難 実務能力があっても、形式的な日本語資料で採用候補から外れやすくなります。 | 採用余地 会社側の認定・カテゴリー対策により、採用の選択肢を守りやすくなります。 |
| 在留期間更新 | 更新時リスク 更新時に職務内容と言語能力資料が問題となり、追加対応に追われる可能性があります。 | 継続雇用 会社側の体制を整え、更新・配置転換・業務変更に備えやすくなります。 |
| 会社の採用力 | 不安材料 外国人材に対して、安定した受入れ体制を制度的に示しにくくなります。 | 信用補強 えるぼし認定により、労務管理・女性活躍・職場環境を客観的に示せます。 |
これは「外国人本人の日本語力」だけの問題ではありません
もちろん、日本語能力は重要です。しかし、制度上の実務では、本人の努力だけでなく、会社がどのカテゴリーに該当するか、どのような労務管理体制を持つかも大きな意味を持ちます。 これからの外国人雇用では、本人任せではなく、会社側が採用・更新・雇用継続を円滑にするための体制を整えることが重要です。
特に対策を検討すべき企業
- ■ 技人国人材を雇用している、または今後採用予定の中小企業
- ■ 法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円未満で、カテゴリー3・4に該当しやすい企業
- ■ ホテル、旅行、飲食、小売、教育、語学、外国人向けサービスに関わる企業
- ■ 通訳、翻訳、マーケティング、海外対応、接客を伴う職務で外国人材を活用している企業
- ■ N2未取得者や日本語資格未取得者も含めて、外国人材の採用候補を広く確保したい企業
えるぼし取得に向けて整えるべきこと
えるぼしは、採用・継続就業・労働時間・管理職比率・多様なキャリアコースといった労務データに基づく認定です。技人国対策として活用するには、単に認定を取るだけでなく、外国人雇用の継続に使える形で整えることが重要です。
技人国カテゴリーの確認
現在のカテゴリー、外国人社員の職務内容、日本語資格、今後の採用・更新予定を確認します。
えるぼし取得可能性の確認
5つの評価項目について、現時点で狙える段階と不足データを整理します。
労務データの整備
採用、継続就業、労働時間、多様なキャリアコース等のデータを認定申請に使える形へ整理します。
行動計画の策定・届出
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、届出、公表を行います。
えるぼし認定申請
認定申請書類、添付資料、労働局からの確認・補正対応を進めます。
外国人雇用への活用
認定証や労務データを、採用・更新・雇用継続の説明材料として活用します。
まとめ:えるぼしは、中小企業の外国人雇用を円滑にする会社側対策になり得る
えるぼし認定は、女性活躍を推進する企業を評価する制度です。しかし、技人国人材を雇用する中小企業にとっては、それだけではありません。会社の労務管理体制を外部に示し、カテゴリー1該当を見据えることで、外国人材の採用・更新・雇用継続を円滑にする対策としても活用できます。
特に、令和8年4月15日以降の日本語等の言語能力資料の追加負担は、カテゴリー3・4企業にとって無視できない脅威です。中小企業が外国人材の採用候補を広く確保し、技人国人材に長く働いてもらうためには、本人側の資格だけでなく、会社側の認定・労務体制整備も重要になります。