【2026年10月開始】保険料調整制度とは?対象事業所・社会保険の適用拡大スケジュールをわかりやすく解説
あなたの会社にいつ来る?
2026年10月開始「保険料調整制度」を解説
パート・アルバイトなどの短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が、今後段階的に拡大されます。
これにあわせて、2026年10月1日から、一定の短時間労働者の健康保険料・厚生年金保険料の本人負担を軽減する「保険料調整制度」が始まります。ただし、2026年10月からすべての50人以下の会社に社会保険加入が義務付けられるわけではありません。会社の規模によって、強制的に適用される時期が異なります。
社会保険の適用拡大について相談する今回の制度を理解するうえで一番重要なのは、2026年10月から一斉に社会保険の加入義務が広がるわけではない、という点です。
現在、一定規模以上の会社では、要件を満たすパート・アルバイトなどの短時間労働者を社会保険に加入させることが法律上義務付けられています。このような会社を「特定適用事業所」といいます。
一方、その規模にまだ達していない会社でも、労使の合意によって自ら申し出れば、短時間労働者を先に社会保険へ加入させることができます。この会社が「任意特定適用事業所」です。2026年10月からは、この任意ルートでも保険料調整制度を利用できるようになります。
まだ法定の対象ではない50人以下の会社でも、労使合意により任意特定適用事業所となれば先行して制度を利用できます。
会社規模に応じて社会保険の適用範囲が段階的に拡大され、対象となる短時間労働者は法律上、加入が必要になります。
新たに社会保険へ加入する一定の短時間労働者について、本人の社会保険料負担を軽減します。
そもそも「社会保険の適用拡大」とは?
会社で働く正社員だけが健康保険・厚生年金保険に加入するわけではありません。一定の条件を満たすパート・アルバイトも社会保険の加入対象になります。その対象となる会社・従業員の範囲を徐々に広げているのが「社会保険の適用拡大」です。
正社員など通常の労働者と比べて、週の所定労働時間と月の所定労働日数が4分の3以上となる従業員は、会社規模にかかわらず、原則として従来から社会保険の加入対象です。
今回の「適用拡大」で主に問題となるのは、正社員の4分の3未満しか働いていないものの、週20時間以上働くパート・アルバイトなどです。こうした短時間労働者を、どの規模の会社まで社会保険に加入させるかという企業規模の基準が、今後段階的に引き下げられます。
「特定適用」と「任意特定適用」の違い
名前が似ていて分かりにくい制度ですが、違いは「法律上の義務なのか、会社が任意で先に選ぶのか」です。
特定適用事業所
一定以上の企業規模に該当するため、要件を満たす短時間労働者を健康保険・厚生年金保険へ加入させなければならない会社です。
会社や従業員が「加入したくない」と選択することはできません。要件を満たせば法律上の加入対象となります。
任意特定適用事業所
まだ特定適用事業所となる企業規模に達していない会社が、労使の合意に基づいて申し出ることで、短時間労働者にも社会保険を適用する制度です。
会社が対象となるかどうかを任意で選べる制度ですが、一度任意特定適用事業所となれば、加入要件を満たす短時間労働者について一人ずつ加入・非加入を選ぶ制度ではありません。
「任意適用事業所」と「任意特定適用事業所」は名称が似ていますが、意味が異なります。
任意適用事業所とは、そもそも健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所ではない事業所が、一定の要件を満たして任意で社会保険の適用を受ける制度です。今回の保険料調整制度で重要なのは、短時間労働者への適用拡大に関する「任意特定適用事業所」の方です。
あなたの会社はいつから強制適用?
短時間労働者に社会保険を適用しなければならない企業規模は、今後段階的に引き下げられます。会社の規模によって、強制適用となる時期が異なります。
現在すでに特定適用事業所の企業規模です。
それまでは任意特定適用事業所となって先行することもできます。
強制適用前でも任意特定適用事業所となる選択肢があります。
強制適用前でも任意特定適用事業所となる選択肢があります。
企業規模要件が撤廃される予定です。
ここでいう「従業員数」は、単純な在籍人数ではありません。原則として、厚生年金保険の被保険者数、つまりフルタイムの従業員と、週の所定労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員を合計した人数で判定します。
具体例で見るとこうなります
従業員40人の会社
2026年10月時点では、短時間労働者への適用はまだ法律上の義務ではありません。
ただし、労使合意により任意特定適用事業所となれば2026年10月から先行可能です。何もしなくても、2027年10月からは企業規模要件の引下げにより強制適用となります。
従業員30人の会社
2027年10月の36人以上への適用拡大では、まだ強制適用になりません。
2029年10月から強制適用となります。ただし、それ以前に任意特定適用事業所となって短時間労働者を加入させることも可能です。
従業員8人の会社
企業規模による強制適用は、2035年10月からとなります。
それ以前でも、要件を満たして任意特定適用事業所となれば、短時間労働者を社会保険へ加入させることができます。
そこで登場するのが「保険料調整制度」です
社会保険の適用が広がると、それまで配偶者の扶養内などで働いていた短時間労働者にも健康保険料・厚生年金保険料の本人負担が生じることがあります。その結果、「社会保険料がかかるなら勤務時間を増やしたくない」と就業調整が起きることがあります。
保険料調整制度では、本来従業員本人が負担する健康保険料・厚生年金保険料の一部を、会社が追加で負担することにより、本人の社会保険料負担を軽減します。
会社が追加で負担した分は、一定期間経過後に会社が納付する社会保険料から全額控除されるため、最終的に会社が納付する保険料は増えません。また、この軽減によって従業員が将来受け取る年金額が減ることもありません。
保険料調整制度を使える会社は2つのルート
2026年10月~ 任意で先行する会社
2026年10月1日以降に、新たに任意特定適用事業所となる会社です。
まだ法律上の強制適用時期が来ていなくても、労使合意によって短時間労働者を先に社会保険へ加入させれば、保険料調整制度の対象となることができます。
2027年10月~ 法定の適用拡大
2027年10月以降、企業規模要件の引下げによって短時間労働者が新たに社会保険の加入対象となる会社です。
36~50人の会社から順番に対象となり、その後21~35人、11~20人、10人以下へと段階的に広がります。
社会保険に加入する人全員が、軽減対象になるわけではありません
ここは混同しやすいポイントです。「社会保険の加入対象となる条件」と「保険料調整制度によって本人負担を軽減できる条件」は同じではありません。
特定適用事業所または任意特定適用事業所で、正社員の4分の3未満の働き方をしている方については、週20時間以上、学生ではないことなどの加入要件を確認します。なお、所定内賃金月額8.8万円以上という現在の賃金要件は、2026年10月に撤廃予定とされています。
週20時間以上
週の所定労働時間が20時間以上で、フルタイム労働者の4分の3未満であること。
月収13万円未満
月収13万円未満で、標準報酬月額が12.6万円以下であること。
学生ではない
学生に該当しない短時間労働者であることが必要です。
社会保険の加入対象者が月収13万円以上であれば、社会保険には加入しても、今回の保険料調整制度による本人負担の軽減対象にはなりません。
本人負担はどのくらい軽くなる?
本人負担の軽減幅は月収によって異なります。月収が低いほど軽減幅が大きく、制度利用3年目は軽減幅が半分になります。
月収8.8万円の場合のイメージ
通常の労使折半
従業員:12,500円/月
事業主:12,500円/月
本人負担を半分に
従業員:6,250円/月
会社が追加負担:6,250円/月
軽減幅は半分
従業員:9,375円/月
軽減額:3,125円/月
「3年間」は、従業員一人ひとりの加入から3年間ではありません
保険料調整制度の利用期間は、事業所単位で3年間です。
たとえば、2026年10月1日から制度を利用している会社で、ある従業員が2027年10月1日から社会保険へ加入した場合、その従業員が軽減を受けられるのは残りの2年間です。従業員が加入した日から改めて3年間がスタートするわけではありません。
2026年10月から任意で先行する場合の手続き
まだ法律上の強制適用時期が来ていない会社が2026年10月以降に先行して制度を利用する場合は、まず任意特定適用事業所になる手続きが必要です。
労使の合意を得る
同意対象者の2分の1以上の同意を得ます。会社だけの判断で、一方的に任意特定適用事業所へ移行する仕組みではありません。
任意特定適用の申出
任意特定適用事業所申出書、同意を示す書類、対象となる短時間労働者の資格取得届などを提出します。
保険料調整制度を申し出る
事業所が保険料調整制度の対象となった日から2年以内に「保険料調整開始申出書」を提出します。
任意特定適用事業所の申出は電子申請も可能ですが、「保険料調整開始申出書」は電子申請できません。事務センターへの郵送、または管轄の年金事務所への郵送・窓口持参となります。
会社としては「いつ強制になるか」を先に確認しましょう
単純な在籍人数ではなく、社会保険上の企業規模の数え方で36~50人、21~35人などのどこに該当するかを確認します。
40人であれば2027年10月、30人であれば2029年10月というように、自社がいつ特定適用事業所になるかを確認します。
人材採用・定着、シフト確保、従業員の希望などから、強制適用を待たず任意特定適用事業所となるメリットがあるかを検討します。
社会保険へ加入する人のうち、月収13万円未満などの条件を満たす人について、保険料調整制度を利用できるか確認します。
当法人がサポートできること
代官山社会保険労務士法人では、社会保険の適用拡大について、自社がいつ対象となるのかという企業規模の確認から、対象となる短時間労働者の判定、任意特定適用事業所の申出、保険料調整制度の手続きまで支援します。
企業規模の確認
厚生年金保険の被保険者数を確認し、自社が何年から適用拡大の対象になるかを整理します。
対象従業員の判定
勤務時間、学生区分、雇用期間、賃金、標準報酬月額などを確認します。
任意特定適用の手続き
労使同意から申出書、資格取得届など、任意で先行適用する場合の手続きを支援します。
保険料調整制度
軽減対象者の確認から、保険料調整開始申出、その後の社会保険・給与実務まで整理します。
社会保険の適用拡大では、会社の人数だけでなく、従業員数の数え方や短時間労働者の勤務条件を確認する必要があります。今後の採用・シフト編成への影響も含め、早めに整理しておくことをおすすめします。
相談・お問い合わせはこちらよくあるご質問
Q.従業員40人の会社です。2026年10月から社会保険加入が義務になりますか?
いいえ。40人の会社が企業規模要件によって強制適用となるのは2027年10月からです。ただし、2026年10月以降、労使合意により任意特定適用事業所となって先行することは可能です。
Q.任意特定適用事業所になったら、加入させるパートを会社が選べますか?
原則として、個人ごとに選ぶ制度ではありません。任意特定適用事業所となった場合、短時間労働者としての加入要件を満たす方は社会保険の加入対象となります。
Q.任意適用事業所と任意特定適用事業所は同じですか?
違います。任意適用事業所は、そもそも社会保険の強制適用事業所ではない事業所が任意で社会保険の適用を受ける仕組みです。任意特定適用事業所は、企業規模要件を満たしていない会社が、短時間労働者について任意で適用拡大を行う仕組みです。
Q.2027年以降、強制適用になった会社でも保険料調整制度を使えますか?
原則として、2027年10月以降の社会保険適用拡大によって短時間労働者が新たに加入対象となる事業所も、保険料調整制度の対象となります。
Q.社会保険に加入したパート全員の保険料が軽くなりますか?
いいえ。保険料調整制度には別途対象要件があり、週20時間以上、月収13万円未満(標準報酬月額12.6万円以下)、学生ではないことなどを確認する必要があります。
Q.会社の社会保険料負担は増えますか?
従業員の軽減分をいったん会社が追加負担しますが、その追加負担分は一定期間経過後に納付する社会保険料から全額控除されるため、最終的に会社が納付する保険料は増えません。
Q.途中から加入した従業員も、その日から3年間軽減されますか?
いいえ。制度利用期間は事業所単位で3年間です。途中から加入した従業員は、その事業所に残っている制度利用期間について軽減を受けます。
まず「自社は何年から強制適用か」を確認することが重要です
2026年10月から、50人以下のすべての会社に短時間労働者の社会保険加入が義務付けられるわけではありません。2026年10月からは、まだ強制適用となっていない会社が労使合意によって任意特定適用事業所となり、先行して保険料調整制度を利用できます。
その後、2027年10月から36~50人、2029年10月から21~35人、2032年10月から11~20人、2035年10月から10人以下へと、短時間労働者への社会保険適用が段階的に拡大されます。
保険料調整制度は、この適用拡大によって新たに社会保険へ加入する一定の短時間労働者について、本人の保険料負担を軽減する仕組みです。自社の企業規模、強制適用となる時期、対象となる従業員を順番に確認しておくことが重要です。
日本年金機構「保険料調整制度のご案内」
保険料調整制度について確認する
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
特定適用事業所・任意特定適用事業所について確認する
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
社会保険の適用拡大について確認する
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「自社は何年から強制適用になるのか」「任意で先に適用するメリットがあるのか」「どの従業員が保険料調整制度の対象になるのか」など、会社の従業員数・勤務条件・給与水準を確認したうえで整理します。
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